2年ぶりにジェラール先生と再会

J.C.ジェラール フルートリサイタル

9月30日昭和音楽大学内ユリホールで開かれた私の師匠のジェラール先生のリサイタルに行ってきました。

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これが昨夜のプログラムです。バラエティーに富み、趣向を凝らしたとても心温まる演奏会でした。
ジェラール先生は、御年75歳、未だ現役バリバリと言うか、聴くたびに演奏の深みが増すことにビックリさせられます。

開演前にエレベーターから降りてこられたジェラール先生にばったりお会いしました。「お元気ですか?調子はどうですか?」とお尋ねすると「まだわからない」と相変わらずユーモアのある会話。「演奏会の後はどこか行くか?」と聞かれたので、他の先生たちもお誘いして演奏会後は居酒屋に行きました。

演奏会が始まり、第1音を聞いた瞬間、懐かしさに加え、また、以前より深みを増した美しい響きに酔いしれました。
まだお聞きになったことのない方は是非お聞きになることをお勧めしますが、彼の音楽は常に愛情豊かで、きめ細やかな音色は多彩な色を醸し出します。
最近のフルートの演奏は、大胆で迫力のある演奏が多い中、彼の演奏は、フルートが本来持つ、心の微妙な移り変わりを表現できるというフルートの醍醐味を思う存分堪能させてくれます。私が最近悲しく思うことは、フルートを近くで怒鳴りながら演奏する演奏家が多く、それを大きい音と思い込んでいる方があまりにも多いと思います。
私が今まで聞いたフルーティストで一番音が大きかった(?)のは、マルセル・モイーズです。しかもモイーズが84歳の時の音です。フルートの大きな音とは、深い響きのある音を言うのだと私は思います。そういう意味でも、昨夜のジェラール先生の演奏は、音楽に対して誠実で、その深い響きがとても心地よく、人が大切にしている想いにどんどん迫ってきます。こういうフルーティストがドンドン減っていくことはとても悲しいと思うとともに、自分は、人の心に響く音楽を演奏し、教えていかなければいけないと改めて強く思わされた、と同時に凄い先生に習ったのだな〜と昔のレッスンも思い出しました。
この想いを大切に、一人一人の生徒さんにも更に丁寧に教えていこうと思いました。

演奏会の後は、フルート仲間とジェラール先生を囲んで楽しい音楽談義に花を咲かせました。img_0130

私もジェラール先生から学び取った素晴らしい音楽へ対する想いをみなさんに伝えるように頑張らねばと思っと一夜でした。